愛は惜しみなく与う⑥


「昨日俺は杏の部屋から出て、拉致られたんだよ」

「部屋から出るしやん。起きたら居らんかったし…泉が来てくれたん夢やったんかと思った…」


目を覚ませば泉は居ないし。
隣にいると思ってたのにさ?泉が東堂に居るの、あり得へん事やから…

夢って思うよな?


「そっか、悪い。夢じゃないよ。大丈夫」


雄作さんにコアラのようにしがみ付いたままのあたしの頭を泉は撫でる

ふふ
よかった


「てめぇ、俺が目の前にいながら、イチャコラすんなボケ!どつき回すぞコラ」


雄作さんが泉に向かって怒る。いや、うん。怒らんといてよ?
雄作さんの怒った顔を片手でペチッと叩く


雄作さんに目の前であぁ言われたら誰でも怖い。でも泉はちょっと違った


「あんたがそんな言葉遣いしてるから、杏も口が悪くなるんだろ?」


今度は泉が雄作さんに言い返す。
その前に待って?あたしの口が悪いって?


「馬鹿野郎!俺のせいじゃねーよ!日に日に口が悪くなっていったんだ!志木のせいだろ!」

ガルルル
と言いそうなくらい2人は睨み合う

いや、待ってよ、仲良いやん