愛は惜しみなく与う⑥

その人はあたしの名前を呼んだ


おかしいやん

どうしよ



「お転婆には育てたけど、俺はお前を、嘘つく子に育てた覚えはないぞ」


そう言い悲しそうな顔で笑う



「ご、ごめんなさい。雄作さん…」


突然あたしの前に現れたのは、大好きな大好きな雄作さんやった。

崩れ落ちるように倒れ込むあたしの前に、ドカンと座る雄作さん



「ちょっと背伸びたか?半年しか経ってねぇけど。少し伸びてるぞ?」


話しかけてくる雄作さん
でもあたしは、よく分からなくて。でも目の前に大好きな雄作さんがいる事が嬉しくて


「……黒髪似合わねぇな」


あたしの頭をグシャグシャと撫でる


「……おい、杏。泣くなよ。お前に涙は似合わない」


大きな手で顔を包み込まれた

我慢できひんかった。もう、全部どうでも良くなりそう



「雄作さん!!!会いたかった。会いたかったよ。嘘ついてごめん。うわーん」


大きな身体に飛びついてあたしは泣いた。ウォンウォン泣いた

泣きすぎて過呼吸になりそうになる。
それくらい、涙が出た