一匹狼くん、 拾いました。弐

 放課後、仁と二人で校門に行くと、そこにツインテールの女の子がいた。

 え?

 仁は目を見開いて、学校の方に戻る。しかもすごい早足。

「ちよっとおにい! 無視しないでよ!」

 彼女は走って後を置い、仁の鞄を掴む。仁は鞄から手を抜いて、さらに離れる。

「誰が兄だ! こんなとこまで来んな!」

 下駄箱の方から結賀と廉と伊織が来る。

「あれ、鈴音ちゃ……おい?」

 結賀の後ろに仁は隠れてしまう。

 仁の妹か。ドピンクのスクバと、真っ赤なリボンのついた髪が目を惹く。


「あー鈴音ちゃん!」

 伊織が仁の妹のそばに行く。

「いおねえ! おにい借りていい?」

「もちろん、いくらでも」

「は、冗談じゃねぇ。スクバ置いて帰れ」

 仁は妹を睨む。人を殺しそうなくらい、目が釣り上がっている。

「そんなぁ」

 うなだれる妹を見て、仁はため息をつく。

「……用件は?」

「最近、家の空気が悪いの。パパがママと毎日お兄のこと話してる」

 仁はますます顔をしかめる。

「ほっとけ。喧嘩してないなら」

「嫌。毎日言い争いなんだよ『学校に行ってくれ』『私は行かない』って」

 何の話かわかってしまった。

「鈴音ちゃん、その話を仁にしたらダメだ」

 結賀は首を振る。

「え、なんで、だっておにいの話でしょ」

「母親が面談したくないのなんて、わかりきってる」

 三者面談は、血のつながった親がするべきだ。でも仁は望んでいるのか?

「なんで? 私はわかんないよ、聞いても鈴音は知らなくていいって」

「俺が離婚した旦那の子だからだよ」

 鈴音が持っていた、自分のスクバを仁は奪い取る。

「もう帰れ、クソガキ」

 上履きを履いて、仁は学校に戻ってしまう。こうなるともう、妹は追えない。