一匹狼くん、 拾いました。弐



 かき氷を食べると、緋也は僕は汐美たちと帰ると言って、俺達と別れた。


 昼間につくと、当たり前のように『White Cat』
は閉まっていた。


「あー裏口から入るか」

 そんなことを呟きながら、仁はシャッターの裏手に回る。

「……うん。なぁ仁……もし気乗りしないなら」

「しねぇよ? ……でもちゃんと話しねぇとダメだろ」

「同感だな」

 仁の肩に腕を乗っけて、結賀は笑う。

「……ごめん」

 そう言ってから、俺は裏口のドアをノックした。

「すみません、まだ開店前で……銀」

「よう。裏切り者」

 俺が何かを言う前に、仁は葵に向かって言う。

「なんで」

 葵が首をかしげる。

「ミカがお前に会いたくて仕方がねぇんだと。感謝しろよ、ゲス」

「……はは。相変わらず酷いトゲだな」

「葵……葵は、今でも父さんが好き?」

 俺が聞くと、葵は首を振った。

「いや。……もう好きじゃない。もともとミカに声をかけたのも、あんな父親のそばにいるお前が心配だったからだし」

「そっか。ね、葵お腹すいた。葵の手料理食べたい。あとノンアルの酒も」

「は?」

 葵は目を丸くする。話をしに来たのかと思ったら飯をリクエストされて、戸惑っているのだろう。

「……やっぱアルコール入りで」

「ダメだ。俺が許さね……ごめん、普通に話した」


 頭を下げてきたので、慌てて首を振った。

「普通にして。葵がずっと恋しかった。俺、お前なしじゃ生きられない」


「許してくれるのか?」

「いや……それはまだ無理だと思う。でも俺は、葬式で会ったらあの日から、きっとお前に依存してるから。お前のいない日々が無理」

 心の底から嫌そうに、仁はため息をつく。

「俺は裏切りものなんて死んじまえっていつも思ってる。でもミカはいい子だからそうじゃないらしい。だからミカのために、お前を俺らのそばにいさせてやる」

「うっわ!! すげぇめんどくせぇなお前! 惚れた男でも流石にひく!」


 結賀は声を荒げる。

「は? お前らって、ゲイ?」

葵は目を丸くする。

「そう。仁と俺だけな。いずれ付き合うんで」

「つき…っ? そうだな……ミカへの未練がなくなったら」

恋人繋ぎをされた仁は、頬を赤くしながら答えた。