かき氷を食べると、緋也は僕は汐美たちと帰ると言って、俺達と別れた。
昼間につくと、当たり前のように『White Cat』
は閉まっていた。
「あー裏口から入るか」
そんなことを呟きながら、仁はシャッターの裏手に回る。
「……うん。なぁ仁……もし気乗りしないなら」
「しねぇよ? ……でもちゃんと話しねぇとダメだろ」
「同感だな」
仁の肩に腕を乗っけて、結賀は笑う。
「……ごめん」
そう言ってから、俺は裏口のドアをノックした。
「すみません、まだ開店前で……銀」
「よう。裏切り者」
俺が何かを言う前に、仁は葵に向かって言う。
「なんで」
葵が首をかしげる。
「ミカがお前に会いたくて仕方がねぇんだと。感謝しろよ、ゲス」
「……はは。相変わらず酷いトゲだな」
「葵……葵は、今でも父さんが好き?」
俺が聞くと、葵は首を振った。
「いや。……もう好きじゃない。もともとミカに声をかけたのも、あんな父親のそばにいるお前が心配だったからだし」
「そっか。ね、葵お腹すいた。葵の手料理食べたい。あとノンアルの酒も」
「は?」
葵は目を丸くする。話をしに来たのかと思ったら飯をリクエストされて、戸惑っているのだろう。
「……やっぱアルコール入りで」
「ダメだ。俺が許さね……ごめん、普通に話した」
頭を下げてきたので、慌てて首を振った。
「普通にして。葵がずっと恋しかった。俺、お前なしじゃ生きられない」
「許してくれるのか?」
「いや……それはまだ無理だと思う。でも俺は、葬式で会ったらあの日から、きっとお前に依存してるから。お前のいない日々が無理」
心の底から嫌そうに、仁はため息をつく。
「俺は裏切りものなんて死んじまえっていつも思ってる。でもミカはいい子だからそうじゃないらしい。だからミカのために、お前を俺らのそばにいさせてやる」
「うっわ!! すげぇめんどくせぇなお前! 惚れた男でも流石にひく!」
結賀は声を荒げる。
「は? お前らって、ゲイ?」
葵は目を丸くする。
「そう。仁と俺だけな。いずれ付き合うんで」
「つき…っ? そうだな……ミカへの未練がなくなったら」
恋人繋ぎをされた仁は、頬を赤くしながら答えた。



