一匹狼くん、 拾いました。弐


「んーとそれじゃあ、仁はミカの隣行って。俺は緋也の隣に行くから。で、みんな靴真ん中向けて。」

 仁が隣にきたところで、結賀と緋也と向かい合わせになって、みんなの靴で四角を作った。

「じゃ、撮るぞ」

 スマフォを起動すると、結賀はそれをちょうど四角の真ん中に持って行って写真を撮った。

「よし。次は指だな。じゃあピースして」

 みんなでピースをして、指と指を合わせて手裏剣の形をつくった。

「ミカ」

 写真を撮り終えると、結賀は俺にスマフォを渡してそれを見せてくれた。

「……あ」

 スマフォには靴が四つ映っていた。緋也の赤いのに、結賀の青いやつ、仁の白いヤツに俺の黒いやつ。

 右にスライドすると、みんなのピースがあった。

「……っ」

 まだ観光を始めてもいないのに目頭が熱くなって、涙がこぼれた。

「こらミカ、そんなんだと毎日泣く羽目になるぞ」

 冗談めかす結賀を見て、俺は目を見開く。

「たしかに」

 結賀に同意する仁を見て、さらに瞠目した。

「……っ、毎日こんなことしてくれんの?」

「何当たり前のこと聞いてんだよ」

 俺の涙を拭って、仁は笑った。

 神様、お願いです。

 まるで都合のいい夢のようなこの現実がもう壊れませんように。

 岳斗の未来を壊した俺がこんなことを願ってはいけないのかもしれない。

 それでも幸せになりたい。緋也と華龍のみんなとともに生きていきたい。

 ……葵や楓とも一緒に生きてみたい。

 たとえそれを、義父親が許さないと言ったとしても。