「みんなお皿とお箸が回ったらすぐに始めるからね。明日もいるから焦る必要はそんなにないと思うけど、あんまりゆっくりやるのはよくないから」
紙皿を回してくれている父さんを見ながら、母さんは言った。
「「「はい」」」「うん」
「じゃあ、お肉焼こうか」
箸と皿が全員の手に行き届いたところで、母さんは言った。
「そしたら俺やりますよ。ミカに教えながら」
そう言うと、結賀は自分の皿と箸を仁に渡して肉を焼き始めた。
コンロがぱちぱちと音を立てて、肉の色が赤から茶色に変わっていく。
「結賀、肉ってどれくらいまで焼けたら食べられんの?」
「全面が茶色くなったらちょうどいいかな、基本的には」
「赤いところが少しくらいあるときに食べても美味しいけどな」
結賀と仁が代わる代わるで教えてくれる。
「そうなんだ、ありがとう」
「ん。ほら」
結賀は焼けて茶色くなった肉をトングでとって、俺の皿の上に置いてくれた。
「ありがとう」
結賀を見てから、タレをつけてそれを口に運ぶ。
「ああ!」
「ん、美味」
焼きたてだから、とてもほかほかしていた。肉汁が一気に口の中に広がる。
「はい、仁」
「ありがと」
結賀がくれた肉を見て、仁は笑った。
「仁怪我でもしてるの?」
俺の真後ろにいた緋也が言う。
「ああ。ミカの義親と葵のことが頭にきて、ものにあたったから」
「ああ、そうなんだ。仁、その……色々ごめんね。結賀も」
仁と結賀を見て、緋也は申し訳なさそうに手を合わせた。
「ん、別にいい。もう怒ってない。ミカが緋也のこと許したなら、俺と仁は何も言わねぇ。な、仁?」
「ああ、そうだな」
「なぁ緋也、血流ってもうパイプとか薬してる団員いないんだろ?」
緋也を見ながら、結賀は首を傾げた。
「うん、いないよ」
血流は緋也が更生してから治安が悪くなくなったらしいから、たぶん緋也が言うなら本当にそうなのだと思う。
「それなら俺の華龍と同盟組まないか? 江ノ島から帰った時にでも団員に話してみて」
「え、いいの?」
「もちろん。みんなで仲良くしようぜ」
「うん!」
結賀の提案に、緋也は元気よく頷いた。
「ミカはどうする? そろそろちゃんと華龍入るか?」
結賀は俺にも提案した。
「あ、えっと……」



