一匹狼くん、 拾いました。弐


「みんなお皿とお箸が回ったらすぐに始めるからね。明日もいるから焦る必要はそんなにないと思うけど、あんまりゆっくりやるのはよくないから」

 紙皿を回してくれている父さんを見ながら、母さんは言った。

「「「はい」」」「うん」

「じゃあ、お肉焼こうか」

 箸と皿が全員の手に行き届いたところで、母さんは言った。

「そしたら俺やりますよ。ミカに教えながら」

 そう言うと、結賀は自分の皿と箸を仁に渡して肉を焼き始めた。

 コンロがぱちぱちと音を立てて、肉の色が赤から茶色に変わっていく。

「結賀、肉ってどれくらいまで焼けたら食べられんの?」
 
「全面が茶色くなったらちょうどいいかな、基本的には」

「赤いところが少しくらいあるときに食べても美味しいけどな」

 結賀と仁が代わる代わるで教えてくれる。

「そうなんだ、ありがとう」

「ん。ほら」

 結賀は焼けて茶色くなった肉をトングでとって、俺の皿の上に置いてくれた。

「ありがとう」

 結賀を見てから、タレをつけてそれを口に運ぶ。

「ああ!」

「ん、美味」

 焼きたてだから、とてもほかほかしていた。肉汁が一気に口の中に広がる。

「はい、仁」

「ありがと」

 結賀がくれた肉を見て、仁は笑った。

「仁怪我でもしてるの?」

 俺の真後ろにいた緋也が言う。

「ああ。ミカの義親と葵のことが頭にきて、ものにあたったから」 

「ああ、そうなんだ。仁、その……色々ごめんね。結賀も」

 仁と結賀を見て、緋也は申し訳なさそうに手を合わせた。

「ん、別にいい。もう怒ってない。ミカが緋也のこと許したなら、俺と仁は何も言わねぇ。な、仁?」

「ああ、そうだな」

「なぁ緋也、血流ってもうパイプとか薬してる団員いないんだろ?」

 緋也を見ながら、結賀は首を傾げた。

「うん、いないよ」

 血流は緋也が更生してから治安が悪くなくなったらしいから、たぶん緋也が言うなら本当にそうなのだと思う。

「それなら俺の華龍と同盟組まないか? 江ノ島から帰った時にでも団員に話してみて」

「え、いいの?」

「もちろん。みんなで仲良くしようぜ」

「うん!」

 結賀の提案に、緋也は元気よく頷いた。

「ミカはどうする? そろそろちゃんと華龍入るか?」

 結賀は俺にも提案した。

「あ、えっと……」