「……しんど」
自分の環境が嫌すぎる。
誰かが俺を、助けてくれたらいいのに。……母さんでも、岳斗でも、楓でも、担任の先生でもいいから。お願いだから、誰か、俺を助けて。
瞳から涙がこぼれて、床に米粒程度のシミを作った。
滝のように涙が溢れ出す。
なんで。朝も泣いたはずなのに。まるで身体が泣き足りないとでもいうかのように、涙がどんどん零れ出した。
「止まれよっ」
『屋上に誰か来たらどうするんだ』なんてことを思ってそうぼやいてみても、一向に涙は止まらない。
くそ。泣いたって、何も解決なんかしないのに。
どんなに泣いたって、俺が露麻と父親に犯されそうになった事実は変わらない。
泣いたら父さんが俺に同情して、ご飯をくれる訳でもない。
泣いたって、何も進展しないんだよ、バカ。
それに学校で泣いていたら、誰かに泣いている理由を聞かれて、虐待のことを話さないといけなくなってしまうかもしれないだろうが。
そんなことになったら、絶対に父さんに怒られる。
学校で泣いたら、悪いことしか起きない。
それがわかっているのに、どうしてこんなに涙が止まらないんだ。
「……っ」
泣きやめよ、早く。



