一匹狼くん、 拾いました。弐


「俊平、服を脱げ」

 髪の毛から手が離れたと思ったら、今度は耳元でそんなことを囁かれる。

「は、何、いってんの?」

「……カロリー消費させてやるて言ってんだよ。いいから早く服を脱げ。上だけでいいから」

「やっ、やだ」

「ああ? 俊平、お前、自分の立場わかってないのか? いいか、お前が約束を破ったんだよ。『毎日俺の指示通りの食事をしろ』っていってるだろ。
それを破ったのはお前なんだよ。拒否はなしだ。脱がないって言うなら、俺が無理やり脱がせるぞ」

 制服のネクタイを引っ張られて、足を踏まれる。

「……ぬ、脱ぐから……ドアと、カーテン、閉めて」

 でないと丸見えだ。

「言う通りにする気があるなら、最初からそうしろ」

 俺のネクタイから手を離すと、父さんは部屋のドアと、カーテンを閉めた。

 上だけ服を脱いで、脱いだ服を床に置いた。

「……何すんだよ」

「お前をパレット代わりにしようと思ってな」

 パレットって、まさか絵の具のパレットか?

 父さんは俺の腕と腹の上に真っ白な紙を置くと、肌と紙を、セロハンテープでくっつけた。

「とっ、父さん、こんなの嫌だ」

「だから、口答えするな。お前が悪いんだろうが」

「旦那様、ドアを開けていいですか?」

 露麻が部屋のドアをノックする。

「ああ、構わない」

「はい。アハハ。今日のお仕置は一段と酷いですね」

 露麻は部屋に入ると、俺の格好を見て声を上げて笑った。

「露麻、これ」

 父さんが露麻に、筆を一つ渡す。

「これを使って、なにをするんですか?」

「それでそこの不良品の体、好きにいじれ」

「かしこまりました。では手始めに」

「んっ!!」

 片手で口を塞がれて、胸の辺りを、筆でくすぐられる。

「反応が良いところを探しますか?」

「ああ、その方がいい」

 そう言うと、父さんはキャンバスボードをイーゼルに立てて、絵を描き始めた。


「っ!」


 父さんが俺の腹の上の紙に黒の絵の具を出して、筆の束の中から、太い筆をとる。

 絵の具を筆で広げたり、筆に水をつけてから、また紙の上に筆を置いたりして、父さんは俺の身体をもてあそぶ。

「俊平様、ダメですよ。旦那様にばかり気を取られては」

「んうっ!」

 露麻が筆の先で、俺の胸を押す。