「ミカ、随分おじさんと仲良くなったみたいだな」
結賀が俺に声をかけてくる。俺は慌てて、父さんから離れた。
「あ、結賀」
「何照れてんだよ」
俺の肩を叩いて、結賀はニヤニヤと笑う。
「ばっ、別にそんなんじゃっ!!」
声を荒らげて否定する俺を見て、結賀はますます笑った。
「アハハ、顔真っ赤。あーよかった、ミカが幸せそうで」
「え」
「葵のことがあってから、ミカ泣いてばっかだったから」
俺の頭に手をやって、結賀は安心したように笑う。
心がポカポカした。
「……ごめん、心配かけて」
「親友にそんなことで謝んなよ」
何も言わずに、結賀を見つめる。……俺と結賀は本当に親友なんだろうか。
だって、結賀はたぶん、仁が好きだ。友人としてではなく、恋愛対象として。
さっきの結賀の仁への態度が、俺にはそう見えた。
だとしたら俺は、結賀の好きな人が恋をしてしまった男になるわけで。
結賀はそんな俺を、本来なら憎んでもおかしくないような俺を、親友として扱ってくれている。
それは果たして、演技じゃないと言いきれるものなのだろうか。
「……うん、ありがとう」
結賀を疑ってるのに勘づかれないよう、いつも通りの雰囲気を装って返事をする。
嗚呼。俺は最低だ。結賀は今まで散々俺に良くしてくれたのに、それが演技じゃないかと思ってしまうなんて。こんなことを思うのは、あの義理の親父のせいでできた人間不信が治りきっていない証拠だよな。あとは葵のことが影響してるのかも。……はぁ。俺は自分のこういうところが心底嫌だ。



