一匹狼くん、 拾いました。弐


「仁くん、スイーツ作る?」

 母さんが、仁に優しく話しかける。

「は、はい。……よろしくお願いします。ミカ、結賀、また後でな」

「うん。仁、頑張って」

「お前やっとここまで来たんだから、ちゃんとスイーツ作れよ?」

 眉間に皺を寄せて、結賀はいう。

「ああ、分かってる。そのつもり。……ちゃんと作れるか、わかんないけど」

 身体を震わせて、不安そうに仁は言う。

「作れるよ、仁なら。大丈夫だから」

 仁の頭を撫でて、結賀は笑う。

「ああ、ありがとう」

 そういうと、仁は結賀と握っていた手を離して、俺の母さんと一緒に、厨房へ行った。

「ミカは俺と話でもするか」

 父さんが隣に来て、俺の頭を優しく撫でる。

「と、父さん、俺……」

 なんて言えばいいのか分からなくて、言葉に詰まって、顔を伏せる。

「わかってる。ミカの義理のお母さんのことや、俺達と暮らすことは、まだ答えを出さなくていい。ミカの気持ちの整理が着くまで、俺と蘭はずっと待ってるから」


「……うん、ありがとう」

 楓とも話さなきゃなんだけど、今は正直まともに話せる気がしないから、バイトが終わるまで待ってようかな。

「俊平」

 厨房の奥から楓が出てきて、俺に声をかけてくる。

「楓ごめん、バイト終わりまで待ってるから、話、その後でい?」

「もちろんいいよ!! ……そしたら、また後でね」

「うん、ありがとう。じゃあまた」

 俺がそういうと、楓は笑って厨房の先にあるカウンターの方に足を運んだ。

 もうすぐ休憩だって言ってたから、多分店内でご飯を食べるつもりなんだろう。

「父さん、仕事は?」

「俺は休憩の後厨房だったんだけどほら、厨房は仁くんが手伝ってくれるみたいだから」

「あ、そうなんだ」

 俺と結賀は厨房の入口のとこに顔を寄せて、仁に気づかれないように、そっと様子を覗いた。