「仁くん、スイーツ作る?」
母さんが、仁に優しく話しかける。
「は、はい。……よろしくお願いします。ミカ、結賀、また後でな」
「うん。仁、頑張って」
「お前やっとここまで来たんだから、ちゃんとスイーツ作れよ?」
眉間に皺を寄せて、結賀はいう。
「ああ、分かってる。そのつもり。……ちゃんと作れるか、わかんないけど」
身体を震わせて、不安そうに仁は言う。
「作れるよ、仁なら。大丈夫だから」
仁の頭を撫でて、結賀は笑う。
「ああ、ありがとう」
そういうと、仁は結賀と握っていた手を離して、俺の母さんと一緒に、厨房へ行った。
「ミカは俺と話でもするか」
父さんが隣に来て、俺の頭を優しく撫でる。
「と、父さん、俺……」
なんて言えばいいのか分からなくて、言葉に詰まって、顔を伏せる。
「わかってる。ミカの義理のお母さんのことや、俺達と暮らすことは、まだ答えを出さなくていい。ミカの気持ちの整理が着くまで、俺と蘭はずっと待ってるから」
「……うん、ありがとう」
楓とも話さなきゃなんだけど、今は正直まともに話せる気がしないから、バイトが終わるまで待ってようかな。
「俊平」
厨房の奥から楓が出てきて、俺に声をかけてくる。
「楓ごめん、バイト終わりまで待ってるから、話、その後でい?」
「もちろんいいよ!! ……そしたら、また後でね」
「うん、ありがとう。じゃあまた」
俺がそういうと、楓は笑って厨房の先にあるカウンターの方に足を運んだ。
もうすぐ休憩だって言ってたから、多分店内でご飯を食べるつもりなんだろう。
「父さん、仕事は?」
「俺は休憩の後厨房だったんだけどほら、厨房は仁くんが手伝ってくれるみたいだから」
「あ、そうなんだ」
俺と結賀は厨房の入口のとこに顔を寄せて、仁に気づかれないように、そっと様子を覗いた。



