一匹狼くん、 拾いました。弐



「お二人さーん、ここ厨房前なんで。そういうことはせめて外でやった方がいいかと……」

 仁の肩に手をやって、結賀はいう。

 まさかこいつ、俺らに追いついてから、ずっと聞いてたんじゃ。

 今まで空気を読んでくれたのは有難いが、流石にちょっと恥ずかしいなこれは。

「……あ。えええ、えっと」

 厨房にいる店員さん達も、結賀の後ろにいる両親も、みんな俺らの方を向いていた。

 今更のように状況を理解した仁は、顔をリンゴみたいに真っ赤にして、物凄いどもった。

 いつも冷静な仁がまさかこんなに狼狽えるなんて思ってなかったから、俺はかなりびっくりした。

「仁、お疲れさん。ちゃんと伝えられてよかったじゃん」

「……ああ。あ、結賀お前、まさか止めなかったのって……」

 顔を真っ赤にして、仁は口をパクパクさせる。

「ああ。わざと止めなかった。だってお前、あのままずっと我慢してたら、そのうち壊れそうだったし」

「……はぁ。お前はなんでもお見通しだな」

 ため息をついて、仁はうなだれる。

「だてに親友やってないんで。お前はミカが好きだったみたいだけど、俺の方が、ミカより仁と過ごした時間は長いし」

 仁の手を握って、結賀はいう。

「なに妬いてんだよ」

「はぁ? 誰も妬いてねぇよ馬鹿!」

 顔を真っ赤にして結賀は抗議する。

 結賀、お前ってツンデレだったのか?

「誰もって、一体誰がお前が妬いてるなんていったんだよ」

 仁が結賀で遊んでいる。ついさっきまで俺に泣きながら告白してたのに、もういつもの調子の仁だ。

 あまりに切り替えが早すぎる!

 いや、結賀が気を利かせて、早く切り替えられるような空気を作ってくれたのか?

「俺で遊ぶな!」

「はいはい。……結賀、ありがとな。ずっと心配しててくれて」

 結賀の頭を撫でて、仁は笑う。

「別に。当然のことだし。お前はもう少し俺に相談しろ。親友が片想いしてんの無言で見守ってる俺のことも少しは考えろよ」

「……ごめん。ありがとう」

 そういうと、仁は結賀の手をぎゅっと握った。