「じっ、仁」
額を触りながら呟く。
仁がこんなに俺を思ってくれてたなんて想いもしなかったから、本当にびっくりした。
「お、俺は何も望まないから。ミカが楓と付き合いたいなら、そうすればいいし。……俺のために遠慮なんてしなくていいから」
涙が頬を伝う。
嗚呼。仁が俺の兄さんだったらよかったのに。
でもこんなことを言ったら、仁はものすごい傷ついた顔をするんだろうな。
「仁、ありがとう。本当に、ありがとう」
「ああ。ミカ、愛してる。きっと、一生」
「仁、俺も多分、仁が女の子だったら、絶対彼女にしてた。俺、よかったよ。あの日、仁の手を取って」
仁をあまり傷つけない言葉を、どうにか絞り出す。
「俺も。あの日ミカの自殺を止めて、本当に良かった」
涙を流しながら、仁は俺の胸に顔をうずめる。
父親にも母親にも愛されてない俺を、仁がとても愛してくれていた。
「仁っ」
涙を流しながら、仁を抱きしめる。
俺は仁に恋愛感情なんてない。それでも仁は特別で、誰にも変え難い存在で。
俺は、自信を持って断言出来る。――仁がいなかったら、死んでいたと。
仁がいたから、今まで生きてこれたんだよと。
「ミカ……好き、愛してる」
「俺も、仁を愛してる」
友達として、仁を誰より愛している。
「ハハ。ミカが好きでよかったな」
涙を流しながら、仁は笑う。
「俺も、仁に愛されててよかった」
――俺は仁の恋人になんてなれない。それでもせめて、仁に大切な人ができた時に、仁がその人に俺のことをいい思い出として語れるような未来を作れるように、俺は精一杯努力する。
だって俺は、仁の親友なんだから。



