でも神様は少なくとも、悪魔ほど残酷ではないのかもしれない。……だって俺は、やっと本当の両親に会うことができたんだから。
「ねぇ俊平、よかったら、今すぐにでも私たちと一緒に暮らさない? 里親の人に反対されたら私達が説得するから。俊平が高校を辞めたくないなら、学生寮にいったり、一人暮らしをしたりするためのお金は私達が払うから、高校を卒業したら、一緒に暮らそう?」
予想外の言葉に驚いて声が出ない。
まさかあのクソ親を説得して、俺と暮らす許可を得ようとしてくれるなんて思わなかった。
あのクソ親と、蘭さんのあまりに違う対応の差にびっくりする。
「俊平が好きな方にしていいからな。じっくり考えて決めてくれ」
悠介さんが俺の頭を撫でて、朗らかに笑う。
「……はい、ありがとうございます。あの、蘭さん、悠介さん、夏休み明けに学校で三者面談があるんですけど、来て貰えませんか」
「ああ、もちろん。仕事を休んででも行くよ。なんたって、大事な息子の頼みだからな」
「俊平、もう蘭さん悠介さんなんて呼ばなくていいから。これからはお母さん、お父さんって呼んで。ね?」
心がポカポカして、泣きそうになった。
「敬語もやめていいからな」
「……うんっ。よろしく、父さん、母さん」
父さんと母さんが椅子から立ち上がって、泣き崩れる俺を後ろからぎゅうっと抱きしめる。
『俊平! 』
『ねぇ、俊平』
俺を抱きしめたクソ親の姿が、頭をよぎった。
「……ごめんなさい」
父さんと母さんの手を振りほどいて、走って休憩室を出る。
「「ミカ!!」」
結賀と仁が走って俺の後を追ってくる。俺はそれに構わず、後ろも見ずに走った。



