一匹狼くん、 拾いました。弐


 仁が頬をかきながら頭を下げる。

 仁はスイーツを作るのが嫌なんじゃなくて、自分がパティシエになりたいと思っているのを母親に認めて貰えないのが嫌だから、作るのに興味はあるんだよな。

 仁が作るスイーツって、どんな味なんだろう。……楽しみだな。まぁまだ本当に手伝いすんのかわかんないけど。

「結賀、お前、世話焼きも程々にしろよ」

「はぁ? 俺はくそ不器用なお前のためを思ってだなぁ……」

「ハハ。二人とも気ぃ緩みすぎだろ!」

 あまりにいつも通りな結賀と仁の様子を見てると、つい気が緩んで、笑い声が漏れた。

 生まれて初めて血の繋がった親に会ったから緊張してたけど、それが一気にほぐれた。

「ふふ、仲良いのね。もう大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

「そ。そしたら、休憩室に行こっか」

 そういうと、蘭さんと悠介さんは今度こそ休憩室に向かった。
 蘭さんと悠介さんを追って、休憩室に足を進める。

 休憩室は中央に大人数用のテーブルと椅子が置かれており、隅に、二人用の小さいテーブルと椅子が置かれていた。

 大人数用の椅子に座るように促され、おずおずと椅子に腰を下ろす。テーブルの中央には、ポットとティーバックと紙コップが置かれていた。

 俺達とテーブルを挟んで向かいの席に腰を下ろした蘭さんが、コップに紅茶を注いで、各々に渡してくれる。

 俺は礼を言うと、紅茶を一口飲んで、ほっと息をついた。