一匹狼くん、 拾いました。弐


「……楓。なんで。孤児院にいたんじゃ」

 店員は、楓だった。

「あたし、孤児院とここに週三で入ってて。……ここは、俊平の本当の両親が働いてるとこだから」

 俺の本当の親のとこと、俺の義親みたいな人がいるとこで働いてたのか。

「今、俺の親いる?」

「うん、いるよ。カウンターにいる男の店員さんが、俊平のお父さん。お母さんは中で料理作ってるよ。……多分二人とももうすぐ休憩だから、店の中で待ってたら?」

「ああ、そうする。ありがとう」

 そういうと、俺はカウンターを見た。

 カウンターには、細身の黒髪の長身の男の人がいた。あれが俺の、父親?

「俊平あの、……後であたしにも時間くれない?」

 楓が俺の耳元で言う。

「うん。俺も、楓と話したい。休憩いつ?」

「私の休憩は俊平のお母さんたちの次だよ。席は空いてるとこに適当に座って大丈夫だから。それじゃ、私これ片付けなきゃだから、また後でね」

「……うん、また」

 そういうと、俺は仁と結賀と一緒にカウンターに行った。

「いらっしゃいませー」

「あの、すみません……三上、俊平です。子供です、貴方の」

「え、本当に、俊平なのか?」

 俺に顔を近づけて、男の人は言う。

 身体が震えた。

「すみません。俺、里親に虐待されてたことがトラウマになってて、男の人に下の名前呼ばれるの好きじゃないので、ミカって呼んで貰えると助かります」

「え。じゃあ、その頭は……」

 後頭部の凹みを見て、不安そうに首を傾げる。俺が虐待されてたなんて、思ってもみなかったんだろうな。

「里親に、やられました」

「えっ。もしかして、他にも傷があるのか?」

「……はい」

「店長、代わります。休憩行ってください」

 楓じゃない店員がカウンターに入ってきて、男の人に言う。

「ああ。ミカ、よかったら休憩室で話さないか?
傷の状態も確認したいし」

 男の人は店員の言葉に頷くと、真っ直ぐに俺を見すえて言った。

 小さな声で頷く。

「み、ミカ」

 仁に肩を触られ、無言で頷く。

「二人も一緒に来て。それでもいい、ですよね?
俺の大事な友達なんです」

「ああ、わかった」

 そういうと、男の人はカウンターを出て、俺達を厨房の方まで案内した。

 多分、休憩室に行く前に母親に会わせるつもりなのだろう。