一匹狼くん、 拾いました。弐


「俊平様」

 露麻が俺の腕を掴む。

 コインパーキングに車を停めて、俺が戻ってくるのを待ってたみたいだ。

「お前が触んな。……なんのようだよ」

 腕を振りほどき、俺は顔を顰める。

「何も言わず、受け取っていただけませんか」

 そう言って、露麻は銀色のアタッシュケースを渡してくる。

「……何入ってんの」

「七百万です。私の全財産のおよそ三分の二です。こんなもので罪滅ぼしになるとは思っていませんが、受け取っていただけませんか」

 思わず目を見開く。七百万だって? そんな金があったら、あんなボロいアパートでて、一軒家に住むことだってできるぞ。


 でも……。

「その金、殆ど親父がくれた金だろ。それ分かってて、俺が受け取ると思うか? 露麻、お前もう帰れ。顔も見たくねぇ」