「俊平様」
露麻が俺の腕を掴む。
コインパーキングに車を停めて、俺が戻ってくるのを待ってたみたいだ。
「お前が触んな。……なんのようだよ」
腕を振りほどき、俺は顔を顰める。
「何も言わず、受け取っていただけませんか」
そう言って、露麻は銀色のアタッシュケースを渡してくる。
「……何入ってんの」
「七百万です。私の全財産のおよそ三分の二です。こんなもので罪滅ぼしになるとは思っていませんが、受け取っていただけませんか」
思わず目を見開く。七百万だって? そんな金があったら、あんなボロいアパートでて、一軒家に住むことだってできるぞ。
でも……。
「その金、殆ど親父がくれた金だろ。それ分かってて、俺が受け取ると思うか? 露麻、お前もう帰れ。顔も見たくねぇ」



