会議が終わると、猫の擬人化用務員コンビは音も立てずにぴゅーっと職員室を出て行く。


「あっ!美矢、待って待って!」


そんな美矢に、りょーちゃんからの預かり物があるのを思い出し、僕はオレンジ色の風呂敷に包まれたそれを手に職員室を飛び出す。

歩くのはそんなに早くない2人を追い越して目の前にしゃ、と現れた僕に、美矢も、猫塚さんもぴょん、と猫っ飛びして後退した。


「いや、そのリアクション何。本当に猫みたい、あはは」

「あははじゃないよ。急に出てきたからビビったし。ねこじぃ目が小判になってるじゃん」

「本当だ。猫塚さん脅かしてごめんなさい。……美矢、これりょーちゃんから。お昼ご飯、給食だけじゃ足りないでしょって」


そうして少しずっしりとした風呂敷を差し出すと、美矢のまん丸のビー玉三白眼がきゅるん、と光って視線がぶつかる。


「具はお味噌スペシャルだって。ツナ味噌と、豚味噌」

「あ、絶対美味いやつ。食べたらりょーちゃんにお礼の連絡入れなきゃ」


自分のお弁当のついでだなんてりょーちゃんは言ってたけど、こうやって毎食喜んでもりもり食べる美矢を想っての行動だろう。
お礼なんて、りょーちゃん電話切った瞬間号泣しそう。