その、白銀と薄紅色のグラデーションが、鱗のフィルターにかかって太陽の光を受けて、生々しくも美しく輝く。
「おおお……!みゃあ子くん!やるじゃないか!これは随分と大物の真鯛だ」
興奮と感嘆がこもった声を上げた武明先生は、今の今まで海を泳いでいて、まだ生きていることを主張するように音を立てて動き回る真鯛を指差し、美矢に訴えかけた。
そんな武明先生の感動とは裏腹に、初めて近くで見るであろう、生きた大物の魚に美矢は少し怖気付いているのか、僕が抱き締めている腕を、小さなやわっこい手でぎゅ、と握った。
美矢の様子に何かを察した武明先生は、太めの下がり眉を更に下げ、生徒たちに諭す時と同じ口調で美矢に話しかけた。
「みゃあ子くんは魚を食べるのは好きか?」
「うん、すき」
「そうか。そのみゃあ子くんが好きな魚たちだって、こうやって力強く生きているんだ。でも、俺たち人間は彼らを食す。食物連鎖だからな。……生きている命を頂いて、それに感謝して生きなくてはならないんだ。だから、その手で持ち上げて、重みを、命を感じてみないか?」
武明先生は保護者からの支持が高い。それは、いつもの底抜けに明るくて暑苦しい一面だけじゃなく、時として必要な言葉をまっすぐ伝える力があるからだ。
「おおお……!みゃあ子くん!やるじゃないか!これは随分と大物の真鯛だ」
興奮と感嘆がこもった声を上げた武明先生は、今の今まで海を泳いでいて、まだ生きていることを主張するように音を立てて動き回る真鯛を指差し、美矢に訴えかけた。
そんな武明先生の感動とは裏腹に、初めて近くで見るであろう、生きた大物の魚に美矢は少し怖気付いているのか、僕が抱き締めている腕を、小さなやわっこい手でぎゅ、と握った。
美矢の様子に何かを察した武明先生は、太めの下がり眉を更に下げ、生徒たちに諭す時と同じ口調で美矢に話しかけた。
「みゃあ子くんは魚を食べるのは好きか?」
「うん、すき」
「そうか。そのみゃあ子くんが好きな魚たちだって、こうやって力強く生きているんだ。でも、俺たち人間は彼らを食す。食物連鎖だからな。……生きている命を頂いて、それに感謝して生きなくてはならないんだ。だから、その手で持ち上げて、重みを、命を感じてみないか?」
武明先生は保護者からの支持が高い。それは、いつもの底抜けに明るくて暑苦しい一面だけじゃなく、時として必要な言葉をまっすぐ伝える力があるからだ。


