「うわっ重た!落ちる!」
そんなゆったりした心地よい空気感の中、これまで美矢が発した中では1番早口な言葉が響き、僕は咄嗟に腕を伸ばした。
あまりの引きに体勢を崩し海にルアーごと投げ出されそうになった美矢。
僕は、その小さくてやわっこくて、けれども細くて不安定な腰に手を回し、彼女を抱き締める形で、それを防いだのだ。
そのやわっこい感触に、心臓が大きく波打つ。こんな状況だから仕方ないのに、女性特有のやたらと甘やかな香りとかそういうのも相まって、波打つ速度は上がる一方。
「だい、じょうぶ?」
渇ききった喉から精一杯、これは不可抗力だという思いも込めて出した音はやけに不格好で。
「ありがと……そのまま、離さないで」
「……え」
返ってきた言葉があまりに想像と違ったせいで、僕はまた不格好な返事をし、けれど彼女の言う通り抱き締めた腕は離さず、心臓の波打ちが少しでも収まるように、と歯を食いしばる。
そのままの形で、美矢は武明先生に習った通りリールを回し、その大物と戦う。
そうしているうちに網を持ってきた武明先生に手伝われ、その大物が漁船の上へと引き上げられた。
そんなゆったりした心地よい空気感の中、これまで美矢が発した中では1番早口な言葉が響き、僕は咄嗟に腕を伸ばした。
あまりの引きに体勢を崩し海にルアーごと投げ出されそうになった美矢。
僕は、その小さくてやわっこくて、けれども細くて不安定な腰に手を回し、彼女を抱き締める形で、それを防いだのだ。
そのやわっこい感触に、心臓が大きく波打つ。こんな状況だから仕方ないのに、女性特有のやたらと甘やかな香りとかそういうのも相まって、波打つ速度は上がる一方。
「だい、じょうぶ?」
渇ききった喉から精一杯、これは不可抗力だという思いも込めて出した音はやけに不格好で。
「ありがと……そのまま、離さないで」
「……え」
返ってきた言葉があまりに想像と違ったせいで、僕はまた不格好な返事をし、けれど彼女の言う通り抱き締めた腕は離さず、心臓の波打ちが少しでも収まるように、と歯を食いしばる。
そのままの形で、美矢は武明先生に習った通りリールを回し、その大物と戦う。
そうしているうちに網を持ってきた武明先生に手伝われ、その大物が漁船の上へと引き上げられた。


