集合場所は昨日と同じ公園。ケンゴと師匠さんは昨日より大掛かりなカメラを準備して既に打ち合わせを始めていた。


「おはよう、凄いねこれ」

「こじろーおはよ。凄いでしょ。旅猫少女の収益を見越してレンタルしてもらったんだよ」


「知り合いから安く借りれたんだよ」なんて師匠さんが言っていたが、この人のコネクションも凄いし、ケンゴの将来性に賭けて大金をはたいてくれたことに感謝しかない。


「俺も見届けたくなったのさ。この子達の本気の作品をね」

「何をおっしゃいますか。勿論、師匠もクレジット表記させて貰いますよ」

「バズったらまた忙しくなるなあ」


楽しそうな2人の会話は、親子でもない、先生と生徒でもない師弟関係の温かさが漂っている。

2人はそのまままた、撮影の打ち合わせをケンゴの絵コンテ片手に始めた。

そこに「おはよう」と挨拶をして自然と溶け込む優を含めたクリエイター班。
僕が思っていたよりずっとスケールの大きな作品になりそうで、何もしていない僕が、今更ながら1番緊張しているようだ。