1日目の撮影を終え、千明と貴人をうちまで送り届け、僕と美矢、優の3人はりょーちゃんの待つ家へと戻った。

帰ると肉の良い匂いが漂っていて、疲れていたはずの美矢が小さく飛んでいの一番にリビングへと足を運ぶ。


「ご飯の前に洋服洗濯機に入れといて!乾燥かけて干すから!明日も着なきゃいけないんでしょ?」

「いや、お父さんかよ」


MVの衣装のままご飯にありつこうとしていた美矢に大きな声で伝えた僕に、すかさず優がツッコミを入れる。

僕が初めての給料で買った、少し高いドラム式洗濯機の乾燥機能がこんな時に生きるなんてラッキー、と思っていたからそのツッコミはスルーしてしまったのだけれど。


リビングで待っていたのはジンギスカン鍋で、優が「こりゃあ酒が進むぜ」と目を輝かせている。

来る度マシンガントークと酒豪っぷりにタジタジになっているりょーちゃんは、優の姿に珍しく苦笑い。


「りょーちゃん、今日もとことん付き合ってもらうからね」

「お手柔らかに頼むよ。美矢の為にじゃんじゃん肉捌かにゃいかんから」


僕はお酒に強くないから、その分りょーちゃんがいつも付き合わされてるのを思い出して、申し訳ないけれど乾いた声で笑ってしまった。