きっと、月が綺麗な夜に。



「休憩したらじゃあ次は海で遊びまーす!海までかけっこだ!」


撮影……というより、子供たちと遊んでいるような時間が小一時間流れ、ケンゴはまだピンピンで、同じように元気な子供たちに飲み物を配りながら声をかけた。


「やば、子供元気すぎ、足ガクブル」

「お疲れ様。でも楽しそうだったよ?」


子供たちに引き回され走り回った美矢は、満身創痍と言わんばかりに足を震わせ息絶えだえにへたりこんだ。

ケンゴは撮影班の師匠さんと撮れたテイクを確認し、優もそちらに興味があるのかケンゴの描いたクロッキーのコンテを眺めながら話に参加している。


「なんだかんだすぐるん居ると心強いよね」

「ね。あいつ作曲だけじゃなくてMVとか映画とかにも関わってるから、その経験値は役立つだろうね」

「でもどうなるんだろ。本当に普通に遊んでるだけみたいな時間だったけど。たまにジャングルジムとかに集めて子供たち必死に真顔にして撮影したりはしてたけどさ」


映像の方は僕や美矢の手に負えるジャンルじゃないけれど、美矢の作った曲の世界観とあまりにかけ離れた時間の流れに、美矢自身戸惑いを隠せないよう。