きっと、月が綺麗な夜に。

「へー、意外と子供好きなんだねー猫ちゃん」

「意外でしょ?可愛いよね」


子供たちが楽しそうに遊んでいる。無邪気に美矢にスコップを渡し、それを嬉しそうに受け取る美矢が、光の泡に包まれているように見え、自分の口元が綻ぶのが分かる。


「何その顔。好きな女に惚気けた顔なのか保護者の顔なのか、ぜんっぜん分かんない」

「んー、多分どっちも、かな?」


だって、やっぱり僕は美矢の全部を愛してるから。それは、恋とか愛とかの方も、全部ひっくるめて。


好きな子が、自分は闇の中から押し返す役目を担おうとしている姿はあまりにも僕には辛い。

あの子はああやって陽だまりの中で、眩しすぎる光を柔らかくする役目でいてほしい。


「結構仲良かったつもりだったのになー、アラサー突入して、初めてとらちゃんのそんな顔見たわ。まだまだ知らないことだらけだよなー」

「はは、僕もそう思う。美矢と知り合ってまだ1ヶ月と少しでこうだもん。老い先長い人生、未知のことだらけ」


そんな未知の世界を、これからも美矢を通して見ていたい。それが僕だけの楽しみであればいいのにな。