きっと、月が綺麗な夜に。

「あ、すぐるんだ。ホントに来たんだ」

「えー、何？可愛くない！もっと喜んでよ！」

「だってそんなに久しぶりじゃないし」


見学していた優に対して美矢は表情ひとつ変えないでゆるりと告げると、くあっと猫のように大あくび。

今日は美矢はケンゴに余裕があれば日が傾き始めた頃少し撮影する予定らしく、来ても来なくても本当はよかったのに優に早く会いたかったらしく来たというのに、素直じゃない。

たった数日一緒にいただけなのに、曲を一緒に作ったこともあり2人は何か見えない絆で繋がれているような気がする。


「みやおねーちゃーん！一緒に遊ぼーよ！」

「ええ、あたしは……」


これが撮影だということをあまり分かっていない貴人が、まだぽやぽやとしている美矢を大きな声で呼ぶ。

それをなんとも言えない顔で遠慮しようとしている美矢だが、無邪気に大きく手を振る貴人にのそのそとそちらへ歩いて行った。


子供たちがどうしようと、美矢がどうしようと多分、ケンゴが後でどうにでもしてくれるから心配は不思議と無い。