祝日を利用して、僕たち2人は本土に住む僕の友人に泊まりがけで会いに行くことになった。

友人は『旅猫少女』の動画を知っていたらしく、本人に会えると大喜び。今回のことを二つ返事でOKしてくれた。


「行ってらっしゃい。美矢のしたいこと、形になるといいね」

「ありがとうりょーちゃん。すぐ戻るから、戻ったら美味しいご飯、楽しみにしてる」


朝、見送りに立ってくれたりょーちゃんに美矢がそう返すと、りょーちゃんは「任せとけ」と力こぶを作って白い歯を見せた。


「しかしあれだろう?友達って、すぐるんのことだろう?え?大丈夫なの?だってあの子」

「え、何?訳ありなの?仲良い人なんじゃないの?」

「ちょっとりょーちゃん、余計な事言わないで。美矢、大丈夫、いい人だから心配しないで」


りょーちゃんが僕に言おうとしたことは何となく分かる。奴は、僕の帰省に付いてきたことが何度かあるからりょーちゃんとも顔見知りだし。

これ以上余計なことを言われる前にいそいそと準備をし「マジかよ、大丈夫なのかよ」みたいなりょーちゃんの視線を浴びながら、僕たちは日差しの降り注ぐ外へと1歩踏み出した。