ひとまずこのまま女の子を道端に転がしているのは忍びないということで、ゆすっても、軽く叩いても起きる気配がなさそうな少女を僕が背負い、千明と貴人には僕の自転車を押してもらい、ついでに、傍らを離れないクロミも共に僕の家へ帰ることにした。

親御さんへはとりあえず僕のスマホから千明に連絡してもらい、晩御飯をご馳走してから自宅へ返すことに。

何度か、弱っている保護猫を助けたことはあるが、まさか身元不明の少女を保護することになろうとは。

うちにたどり着く頃には、島は夕焼け色に染まり、満潮を迎えた潮風が、少し生暖かい風で僕たちを包み込む。


「りょーちゃん、ただいまー」

「おう!おかえり!とら!……と、なんだ、今日はずいぶん客が多いな」


引き戸を千明に開けてもらい帰宅を知らせると、ペタペタとフローリングをかけてくる裸足の音と共に、浅黒い、筋肉質なイケオジがフリフリのエプロンを纏い、今日の冒険者である僕たちを迎え入れる。


「りょうさん、こんばんは!」

「こんばんは!千明ちゃん、貴人くん!」


この人は僕の育ての父で、この島のいわゆる何でも屋的存在で、島民でこの人を知らない者はいない顔の知れた人だ。