「え、たけちゃんってそんな頭のいい大学出てんの?」


ある日の晩、奥さんが本土に泊まりがけの研修に1泊で出た為、うちでご飯を食べていた武明先生との何でもない日常会話中、美矢がまぐろの赤身をご飯の上に落として少し大きな声を上げた。

二日酔いの為冴島屋を休業したりょーちゃんの代わりに、今日は僕がまぐろとアボカドとのっけ盛り丼と、定食屋のトメ子さんのとこからお持ち帰りしたお惣菜でささやかな食事会中だ。


「みゃあ子くんは東京出身だったな。学校は実家が近いから選んだんだ」

「そ、なんだ。いつまでいたの?」

「大学を出て、最初の3年はあちらの小学校に勤務してたから25くらいまでいたが奥さんと結婚してこちらに来たから、どれくらい前だ?むむ?」


あまり過去を振り返らない男である武明先生は、過去から今の日数計算が苦手らしく、スマホの顔文字そっくりの顔で人差し指と親指をVの字にして計算している。

美矢はというと、白い肌から温度がどんどんなくなってサーっと青ざめていた。