「あのさ、この間、聞いて欲しい話があるって、言ったじゃん?」
ケンゴと美矢が撮影に行った日の夜のことを思い出し、口にすると美矢も少しいじけたような表情だったものが真剣な眼差しに変わる。
「今夜、ご飯の片付けが終わったら縁側で涼みながら話そう。僕たちも、お月見がてら」
「うん。分かった」
別に、かしこまって話すことでもないのだけれども、ご飯の後にゆっくり涼みながら話したいのと、せっかくのりょーちゃんの美味しい味を話で味わえないのはもったいない。
その気持ちが言わずとも美矢に伝わったようで、美矢は僕の言葉に短く返事すると「おかわり」といつものように、今日は僕に大きな丼を差し出した。
小さな体で、太くはないのだけれどふくふくと健康的な見た目で良く食べる美矢がいつも通り過ぎて、ずっと囚われていたトラウマを曝け出すことが、怖くないように思える。
僕も、いつもよりたくさん食べよう。美味しいご飯が、愛おしい時間が、僕にとっての心と体の処方箋なのだから。
ケンゴと美矢が撮影に行った日の夜のことを思い出し、口にすると美矢も少しいじけたような表情だったものが真剣な眼差しに変わる。
「今夜、ご飯の片付けが終わったら縁側で涼みながら話そう。僕たちも、お月見がてら」
「うん。分かった」
別に、かしこまって話すことでもないのだけれども、ご飯の後にゆっくり涼みながら話したいのと、せっかくのりょーちゃんの美味しい味を話で味わえないのはもったいない。
その気持ちが言わずとも美矢に伝わったようで、美矢は僕の言葉に短く返事すると「おかわり」といつものように、今日は僕に大きな丼を差し出した。
小さな体で、太くはないのだけれどふくふくと健康的な見た目で良く食べる美矢がいつも通り過ぎて、ずっと囚われていたトラウマを曝け出すことが、怖くないように思える。
僕も、いつもよりたくさん食べよう。美味しいご飯が、愛おしい時間が、僕にとっての心と体の処方箋なのだから。


