この数分の会話を遡ろうとする桃萌ちゃん。


「も、桃萌ちゃん?やめとこ?」
「……ふーん。男の子って、こういう会話するんだ」


僕の太ももの上であくびをしながら、会話に目を通している。


「……あ、あの……引かないで?」
「引かないよ、こんなもんでしょ」


よいしょっ、と起き上がって、髪を直す桃萌ちゃん。
なんか、耐性がすごい。
これが弟慣れってやつか。


「あ、漫画あるじゃん読みたい」
「ん、好きなの読んで?」


マイペースな桃萌ちゃん。
可愛い。
距離もとれて、気持ちも楽になったし。
……ふぅ。


「ね、遥叶」
「ん?」
「高校の勉強どー?」


漫画に目を落としたまま、ポツポツと話す桃萌ちゃん。


「……ぜーんぜんわかんないよ?」
「テスト、大丈夫?」
「……無理かも」
「中学の時みたいに、勉強、しよっか」
「うん」