さあ、來。あなたはどっちを信じる?
目の前の汚された女か。水憐の姫か。
來は黙ったまま私を立ち上がらせ、私を隠すように肩をキツく抱いて建物の外に出た。
そのまま近くに停めてあった車に乗らせる。
水憐の先代か誰かに用意させたようだ。
「これ、替えの服。喧嘩用のやつだから華月には大きいかもしれないけど、今のよりはマシだろ」
渡された服を有難く受け取って、その場で着替える。
どうせ彼が駆け付けた時にもう見られたのだ。今更構わなかった。
丁度着替え終わったタイミングで晟也が車に乗り込んで来た。
「悪い。逃げられた」
アイツら、逃げ足だけは早かったのね。



