ああ、気持ち悪い。
「私に触らないで」
何も映していない、空虚な瞳は男たちを一瞬止まらせた。
この状況になっても叫ぶこともせず、大きな抵抗もせずに一点を見つめていた女が口にした言葉は凛と響いた。
冷たく侮蔑を含んだ声色。
男たちが無遠慮に触れていた手を怯ませた、そのとき。
「華月!」
遠くから私の名前を叫ぶ彼の声が聞こえた。
同時に何人もの足音。
「何でバレてんだよ。まずいな、逃げるぞ」
男たちが慌て始める。彼らが何者かは知らないし、向かってきてるのが水憐だと分かっているのかも知らないが早々に逃避体制に入った。
所詮は小谷沙耶に金か体で買われた男たちってことか。



