「好い様ね」
意地悪く唇を歪めて、私を見下ろす。
地面に平伏している私と、男たちを後ろに従えている彼女。
状況だけ見れば明らかに優位なのは彼女だ。
「水憐から居なくなる気になった?」
「こんなことしたって何の意味にもならない!」
この場になっても自分に屈しない。それが1番彼女にとって苛つくだろう。
思った通り小谷沙耶は眉を釣り上げた。
だけどこれから私をドン底に突き落とせると確信しているからか、自分で手を出そうとはしない。
「…その選択をした自分を恨むのね。後は頼んだわよ、手酷くしていいから」
そう吐き捨て、再びヒールをカツカツと鳴らしながら小谷沙耶はいなくなった。



