それを先に来ていた美穂たちが呆気に取られたように見る。


当然だ。昨日来たばかりの女を、自分の隣に座らせたのだから。


しかも此処は水憐の倉庫で、則ち彼の場所で。それが何を意味しているのか、それとも何も考えていないのか。


自分も座るとようやく手を放してくれた。


それによって空気が動いて、自分でも香水の匂いを感じた。


私があの子にあげたものと同じ香水。きっと彼らも嗅いだことのある、それ。


來が私の顔を見た。


ジッと、何かを確かめるように。切れ長のその目に呑み込まれそうだった。


「…華月は、髪が長い方が似合うんじゃないか?」


重々しい雰囲気で口にしたのはそんな言葉だった。