だけど頭の回転は悪くないのか、そのまま私の嘘を否定はしなかった。


「そんなの私に聞いてよー」


教科書すら出していないのに平然とついた嘘に、美穂はまんまと騙されてくれた。


ごめんねと言いながら私は美穂をロッカーへと連れ立つ。


教室から出るとき、さっきまで話していた女に黙っていてくれてありがとうという気持ちを込めて目配せをした。


伝わったかは分からないけどそれを見て彼女は自分の席に戻って行った。


「昨日、水憐メンバーと仲良くなれたみたいだね」


私が帰ったあとも美穂は倉庫にいたから話を聞いたんだろうか。


「うん、思ったより話しやすくてびっくりしちゃった」