「うん、よろしくね」


「華月ちゃんはどうしてこの高校に来たの?ほら、水憐の奴らが沢山いるでしょ」


そう。ここら辺は水憐という暴走族が牛耳っていて、この高校の生徒の大半はそのメンバーだという。


だから彼女の疑問は尤もなことだった。


普通の女子高生なら、こんな荒れた学校に好んで転校してくるわけがない。


「親の転職で引っ越したんだけど、一番近いのがここだったの。水憐って?」


水憐のことなんて知らなかった風を装って、ごく自然に答える。


「遠くから来たなら知らないか。水憐っていうのはまあ、不良グループみたいなもんよ。でも大丈夫、皆んな悪い奴じゃないから」


悪い奴じゃない、って…。