最後にあの子が何を思って死んでいったのか、残された私に分かる筈もないけど。水憐の中であの子は生きていて、恋をして、そして憎まれて。


こんなにも時が経って、ようやく気付いた。飛鳥は、私の元から羽ばたいていたんだ。


広い世界へ。傷を恐れずに、自分の往く道を自由に1人の力で切り開いていた。


残された私だけがその死に縋り、稚拙な復讐劇をしようとしたなんて、空から見ている飛鳥は呆れているかもしれない。


「じゃあまたな、華月」


私が落ち着いたのを見届けて、紘斗はまたあの街へ帰っていった。


紘斗は私に幸せになれと言ってくれた。その為なら水憐の仲間になってもいいということだろう。


だけど、それは叶わないと何処かで分かっていた。


もう彼は、彼らは私と目も合わせてくれないだろうから。