なんかムカつくー…あの顔。


後ろ姿を目一杯睨む。


私の演技なんて見透かしているよう。もう少し恋愛経験があれば上手く手のひらで転がせたのに。


扱いが上手いかどうかは別として、経験豊富なのはどう見ても來の方だった。


後を追って部屋に入ると先に来ていた三人と、それから伊織の姿もあった。


「ハナ、今度は俺の隣ねー」


どこに座るべきか迷っていた私に晟也の救いの声がかかる。


当たり前のように來の隣に行くのもどうかと思うし。


「ハナ?」


晟也が発した言葉に、携帯を弄っていた伊織が顔を上げた。


しっかり聞いてたんだ。


「あー、華月ちゃんのことそう呼ぶことにしたんだよ」