彼のその優しい笑顔は、もう私に向けられることがないのだと思うと胸が締め付けられる。


自分でも矛盾していると分かっている。色んな感情が混ざって、絡まって、身動きが取れない。


來のあの瞳がずっと怖かった。


私の全てを見透かすような、絡め取るような、惹き込まれる瞳。


だけど今こんなにも考えていることは、もう一度あの瞳に映りたい。


あの切れ長の綺麗な目で、熱く見つめられたい。


最後の日。心を失ったように立ち竦んでいた彼は、大丈夫なのだろうか。


私が刀を振った故の傷なのに、その私が心配するなんてどうかしている。