「華月、緊張し過ぎじゃね?手めっちゃ熱かったし」


階段を上りながら、來が軽く笑った。


なにそれ、手汗かいてたって遠回しに言っているのか。


水憐の倉庫。当然此処に居る人は全員メンバーというわけで。


つまり私にとっては全員敵。


四面楚歌なこの状況で、落ち着いてなんかいられない。


私の目論見がバレていない今は、彼らにとっては敵ではないのだろうけど。


「來が急に手握るから…」


多少の睨みを利かせてわざとらしく顔を赤らめる。


來の方が階段の上にいるから良い具合に上目遣いになっている筈だ。


彼は意外そうに私を見て、フッと鼻で笑った。


返事をすることなく階段を上がりきった先の部屋に入っていく。