來の姿を確認した彼らは一斉に挨拶をする。


メンバーには一応、慕われてるんだ。


それに緩く返事をした來は私の手を急に掴んだ。


咄嗟のことに私は來のことを見上げる。こんな、人のいる場で手を掴む必要ある?


私が戸惑っているのも気にせずに、來は歩き出した。手は繋がれたままだから当然私も強引に歩かされる。


進む先から人が掃けて、道が出来る。


その男たちの横を通り過ぎるとき、彼らの視線が誰だコイツって思っているのが丸分かりだった。


確かに私は紹介されるまでもないかもしれないけど、少しは何か言ってくれれば私も、メンバーも。戸惑わなくて済むのに。


奥にある階段まで着くとようやくその手を放してくれた。