訴えかけてくる彼の瞳に絡め取られる。それが簡単に酷いことを吐ける自分を苦しめた。
この手が紘斗と繋がれていなかったら、自分が言ったことを撤回していたかもしれないと思うとゾッとする。
ここまで来ても心が弱い自分に嫌気がさす。
「飛鳥もそうやって、信じていた仲間から捨てられた」
來は唇をキュッと結んだ。彼は自分が犯した罪を後悔しているのかもしれない。だけど彼らがいくら苦しもうと、足りないのだ。
もうあの子は帰って来ない。私の心が満たされることは無い。
「まさか前に言ってたハナの大事な人って飛鳥のことか?だけどそうしたら飛鳥は…」
伊織が傘もささずに濡れていたあの雨の日。彼にうっかり話してしまったことを思い出した。



