「お疲れ様」


私の言葉に微かに笑顔を見せた紘斗は、私の背中に手を添えた。


明らかに他人ではない距離に、水憐メンバーの視線が刺さる。


「華月…?どうして、そっちに…」


來がポツリと私の名前を口にする。その目は信じられないものを見たかのように開かれていた。


口から流れる血。頬に赤黒く色付いている殴られ跡。


私は、そんな惨めな來の姿を見下ろしていた。


「全部、私が仕組んだことだからよ」


「は…?」


吐き捨てるように言われたそれに声を上げた來が立ち上がろうとするけど、身体に痛みが走ったのか顔を歪めて再び崩れ落ちた。