後ろから聞こえる足音に來が振り返る。そして、私の姿を目に捉えた。


「華月、来るな…!」


残った力を振り絞って必死に叫ばれたその言葉。


だけど私は、地面に膝を付いている來の横を通り過ぎた。


そのまま、この先に立っている紘斗の元へと進む。


紘斗の横で振り返った私に4人の視線が集まった。皆んな、何が起こったか分からないといった表情でただこちらを見る。


そんな彼らに微笑みながら、私は幹部室からそっとこちらを覗く美穂に手招きをした。


それに気付いた彼女は恐る恐るといった様子で幹部室から出てくる。だけど流石に怖いのか、廊下から動こうとはしなかった。


まあいい、声が届けば問題無い。