「エルコウって場所に心当たりある?線路の近くかもしれない」
「ああ、そこなら前に他の族とやり合ったことあります」
ビンゴだ。唯一聞こえたこの単語と、電車の音。
晟也はそこにいる。そして來たちが今向かっているのもきっと同じ場所だ。
「そこに連れてって」
返事を聞くのも惜しく、走り出す前に私は彼の腰に手を回す。
そんな私に急かされるように彼はバイクを走らせた。
來たちから遅れること何分か、ようやく私は水憐を出たのだった。
もう日が落ちかけていて空は紫色に妖しく染まり、小さな月が細々と光る。
夏らしい暑さはこの時間になっても続いていて、バイクで感じる風が気持ち良かった。



