彼が抱えている闇。


それが一体何なのか、見当も付かない。


大切なものから目を背けて、すぐ側の快楽に身を溺れさせて。その大切なものって、何?


晟也の後ろ姿が見えなくなって、靄が晴れたかのようにハッと現実を見る。


いけない。また考え込んでいた。


彼らと深く関わるのは止めようと決めたばかりなのに。


私たちの辿る先は決まっている。どんなに彼らと仲良くなろうと、弱さを知ろうと、私たちは交じり合えない関係なのだ。


復讐する者と、される者。


呑み込んでも、呑み込まれてはいけない。


「華月?」


「え?…わっ」


目の前に、至近距離の來の顔が映る。


いつから私の顔を覗き込んで…。