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1週間の終わり、金曜日。


スマホを片手に持った晟也と靴箱の前でばったりと会った。


忙しなく動いている指先はきっと誰かと連絡を取っていて、彼は私の姿に気付かない。


「また女の子と遊びに行くの?」


前から掛けられた私の声に顔を上げた。


「あー、うん。この間のヤツはもう来ないと思うから、安心して」


聞いたのはそれを心配してるからじゃないのに。


さっさと立ち去っていく晟也の後ろ姿を見ながら、漠然とした不安を感じた。


女と遊ぶこと、つまりは快楽を優先して、最近は倉庫に来る日も少なくなった。


このまま何も言わず、いなくなってしまいそうな焦燥感。