「ハナ倉庫行かねーの?」
「うん、今日は帰る」
歩き出した私の後ろ姿に晟也が声をかける。
これ以上彼に何か言ったってウザがられるだけだ。
晟也は確かに出会った時から女好きではあったけど、こんなに節操無しだった?
来る者拒まず、去るもの追わず。
一体何の為にそんな虚しい、愛のない生活を送っているのか。
分からないけどヤケクソのように思えた。
全て壊してしまいたい衝動。いっそ狂ってしまいたい衝迫。
…そこまで考えて私は嘲笑った。
それは私のことじゃないか。苦しみに耐えることを諦めそうな、無様な女。
考えるのは止めよう。晟也がどこで何を考えて、どんな行為をしていようと、私には関係ないのだから。



