◇◇

「私がずっと一緒にいる。だから、大丈夫だよ」


夜、隠れて泣いていた私を見つけて、背中を撫でてくれたあの子。


まだ幼い声で懸命に私を宥めてくれた。


声が遠ざかってゆく。グワングワンと嫌な耳鳴りが響き、歪んで全てが消えて。


ハッと開いた目に映ったのは、見慣れた自室の天井だった。


目尻から涙が零れる。どうしてまた、こんな夢を。


來のせいだ。昨日、來があんなことを言ったから。


私を心配するあの目が。飛鳥のものでは決してないのに、それでもあの優しさに重ねてしまって。


触れられたあの手が、かつて何度も握ってくれたあの温もりと重なって。


嗚呼、目眩がする。完全に、狂えてしまえたのなら良かったのに。