晟也の個人的な関係に口出しする権利は私には無い。


「晟也、最近サボりすぎよ?留年しても知らないからね」


お母さんみたいな口調で美穂が言う。


「あー、分かってるよ」


嫌そうに顔を歪めて、逃げるように離れていった。


何が彼を変えたんだろう。初めて会ったときから何も変わっていないように見えるけど、確かに何かが変わっている。


目には見えない何かが、動いている。


下を見れば次の試合が始まっていた。


リングを囲うように群れる男たちが熱い声援を送る。


「これ、出てるの全員じゃないよね?」


「うん。メンバーの中でもチーム分けされてるんだけど、そのリーダーと、幹部の4人だけが出れるの」