そのまま駅前まで出ると、一気に人の姿が多くなる。


その人混みの中に、久しぶりに見る晟也の姿があった。


上手い具合にすれ違っているのか、学校でも倉庫の中でも、彼の姿は暫く見ていなかった。


「あ、晟也」


伊織もその姿を目に捉えたのか、口に付いて出たようにその名を呼ぶ。


晟也の姿は前と別段変わったようには見えなかった。


だけど、その隣には派手な女の人を連れている。


「あれ、晟也の彼女?」


高校生にはとても見えない。派手さと妖艶さが共存している、大人な女性の腰に手を回していた。


「いや、どうかな」


私の質問に伊織は煮え切らない答えを返す。


そんな会話をしているうちに、晟也と女の人の姿は何処かへ消えていたのだった。